脳外科手術を行なったわんちゃん①

Neuro Vets 動物神経科クリニックは、脳外科や脊髄外科など神経疾患に特化した手術を実施しています。馴染みのない治療でもありますので、患者様の概要をご紹介させていただき、その実際や治療経過などをどうしているかについて書きたいと思います。

今回ご紹介をさせていただくのは「けいれん」が症状で、発症後2ヵ月経過してご紹介をいただいた8歳のわんちゃんです。

初回来院時にMRI検査を行い、脳の先端部で鼻に近い部位に脳腫瘍が認められました。

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年齢を踏まえ、これからも元気に過ごして欲しいとのご家族のご希望から脳外科手術を行うことになりました。
脳外科手術の予定日はMRI検査で診断した1週間後でした。

今回の術式は「経前頭洞アプローチ」になります。
簡単に言うと、眉間から手術を行う方法です。

今回の手術時間は2時間50分でした(切開から縫合まで)。
しかし、手術前にCT検査を行い、手術後にMRI検査を実施しましたので、麻酔開始から覚めるまでの時間は合計5時間35分でした。

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手術後の経過は良好で、1週間の入院期間で退院となりました。
入院中は酸素室で集中管理を行い、点滴、化膿止め(抗生剤)、けいれん予防薬(抗てんかん剤)などを用いました。

退院後は自宅に慣れるまでに数日を要しましたが、退院後1週間の抜糸の時期には普段通りの様子に戻っていました。

けいれんを抑えるお薬は今後も続けて飲ませていく必要がありますが、それ以外のお薬は抜糸の時で終了となりました。

その後は特にけいれんを示す様子もなく順調に経過して、手術後70日目で経過のMRI検査による手術領域の評価を行いました。
今回のMRI検査では、脳腫瘍の再発を示す様子は認められませんでした。また、手術領域の脳の形態も概ね正常な状態まで改善していました。

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ホッと胸を撫で下ろし、このまま再発なく元気な時間を過ごしてくれれば良いなと思います。

脳外科手術に関するお問い合わせをお受けしていますので、遠慮なくご連絡ください。