進行性脊髄軟化症の勘違いにご注意!

進行性脊髄軟化症は, 重症度(グレード)が『5』の症例だけに発症すると認識していませんか?必ずしもそうではありませんので、 十分にご注意ください。

 少し前の論文ですが、椎間板ヘルニアに関連した進行性脊髄軟化症の発症割合は、 胸腰部椎間板ヘルニア症例全体の2%(13頭/652頭)と報告されています。 この論文で興味深いのは、 進行性脊髄軟化症を発症した症例は必ずしも初回評価時の重症度(グレード)が『5』ではないというところです。

 この論文では、初回診察時の重症度(グレード)が『3』の症例の0.6%、『4』の症例の2.7%で進行性脊髄軟化症を発症していたとされています。重症度(グレード)が『5』の症例では14.5%とされていることから、『5』の状況では当然考慮すべきです。 しかし、『3』や『4』の状況であっても十分に注意・考慮しておかなければいけないため、 ご家族の方への説明も行う必要があります。

 他の論文でも、 進行性脊髄軟化症だった症例が初回診察時には起立歩行していたと報告されています。 また、 発症後2日以内に概ね症状を発現してくると報告されているため、 発症当日などで症例が来院された場合には、 進行性脊髄軟化症について十分にご注意ください。

進行性脊髄軟化症