脳外科手術を行なったねこちゃん①
今回ご紹介をさせていただくのは「行動異常(旋回運動)および視覚障害」が症状で、発症後1ヵ月経過してご紹介をいただいた14歳のねこちゃんです。
他院にてMRI検査を行い、脳の真ん中から後ろ側近い部位に脳腫瘍が認められました。
高齢ではあるものの、以前に近い状態で寿命が全うできればとのご家族のご希望から脳外科手術を行うことになりました。
脳外科手術の予定日は当クリニックの初診日から約1週間後でした。
今回の術式は「テント前外側アプローチ」になります。
簡単に言うと、頭の横から手術を行う方法です。
今回の手術時間は2時間30分でした(切開から縫合まで)。
しかし、手術後にMRI検査およびCT検査を実施しましたので、麻酔開始から覚めるまでの時間は合計5時間54分でした。
ねこちゃんは麻酔からゆっくりと覚めてくるため、焦らないことが大切です。
手術後の経過は良好で、6日間の入院期間で退院となりました。手術前に認められた行動異常(旋回運動)は入院中に目立たなくなりました。
入院中は酸素室での集中管理、持続点滴、化膿止め(抗生剤)、けいれん予防薬(抗てんかん剤)などを用いました。
退院後の様子は手術前と違って元気に過ごし、食欲も旺盛とのことでした。
その後は特にけいれんを示す様子もなく順調に経過して、手術後37日目で経過のMRI検査による手術領域の評価を行いました。
今回のMRI検査では脳腫瘍の再発を示す様子は認められず、手術領域の脳の形態も概ね正常な形態まで改善していました。
手術後230日の段階でもご自宅での様子は元気で活発に過ごせているとご家族よりお伺いしています。ご家族のご希望通りにこれからも元気に過ごしてくれると良いなと思います。
摘出した組織の結果は「髄膜腫(移行型、グレードI)」でした。
ねこちゃんの髄膜腫は塊として摘出することが多くの場合で可能であり、手術後に抗癌剤などを使用しなくても良好に過ごしてくれることが多いとされます。
脳外科手術に関するお問い合わせをお受けしていますので、遠慮なくご連絡ください。