進行性脊髄軟化症ってどんな病気?

進行性脊髄軟化症は、犬や猫に発症して生命に影響する病気です。椎間板ヘルニアなどに関連して発症し、脊髄の出血がどんどんと頭側へ拡がっていくことで呼吸の異常を引き起こして死に至ります。出血を引き起こした脊髄は、軟化(ドロドロに溶けた状態)していきます。

脊髄軟化症

 

発症後、約1週間で死に至ります。必ず病気が進行するわけではありませんが、どの動物では進行していくのか、どの動物では進行せずに止まるのかなどはわかっていません。

 

進行性脊髄軟化症に対する治療方法は?

現時点では、進行性脊髄軟化症に有効な治療方法はありません。しかし、何もせずに死を待つことは辛いことです。

私が2012年に考案した広範囲の椎弓の切除と硬膜切開は脊髄にかかる圧力を逃がすことを目的としており、これによって脊髄内の出血が頭側に拡がることの抑制を期待することができます。

病気の進行を100%は抑制できないかもしれませんが、現在のところ有効である結果が出ています(2018年 日本獣医師会近畿地区学会にて発表、2021年 Veterinary Surgeryにて論文公開)。

広範囲の椎弓の切除と硬膜切開

(※画像の説明:MRIで異常な見え方の部分の広範囲に対して手術を行います。)

MRI検査などで進行性脊髄軟化症が疑われた場合であっても、あきらめないでください。

神経症状の改善は難しいですが、生命の温存を期待して治療する意義はあります。

適応となる状況

  • 前足がしっかりとしている
  • MRI検査で脊髄が広範囲に渡って白く見えている
  • 後ろ足の痛覚が消失している

 

進行性脊髄軟化症が疑われる場合には、ぜひご相談ください。